あれから6年。

目まぐるしく動くこの世の中は、いつも「新しい事」が優先されます。
普遍的な善きものでさえも、古いという理由だけで塗り替えられてしまうこともあります。
6年前の苦しみや悲しみでさえも、当事者でない限りは、月日が無情にも様々に塗り替えてしまっているのも事実。
それが人の世の儚さなのかもしれません。

でも、、、塗り替えているようでも決して塗り替えられていないものがあります。
それこそが日本人の持つ「善き心」です。

地震発生当日、震源地周辺各所で垣間見られた日本人の美徳です。
見知らぬ人にも『大丈夫ですか』と声をかけ、お互いに助け合っている人がたくさんいました。

物資が不足している状況にもかかわらず、コンビニやスーパーは通常通りに営業し、買い物のために長蛇の列が出来ても、誰一人割り込んだり文句も言わずに整然と並んでお金を払って買い物をしていました。

鉄道などの交通機関は夜通し運行し続け、大混乱の中であっても、お年寄りや妊婦に席を譲る人で溢れていました。

私たち日本人にとっては"当たり前"のことでも、世界では決して見ることの出来ない光景です。
こういった災害時には、暴動・略奪といった無法状態が世界の"当たり前"だからです。

実際にこの度の震災について、あのCNNやBBCといった世界の主要メディアが日本人の「善き心」について触れています。
『有史以来最悪の地震が、世界で一番準備され訓練された国を襲った。
犠牲は出たが、他の国ではこんなに正しい行動はとれないだろう。
日本人は文化的に感情を抑制する力に優れている。』

どんなに過去が新しい事に塗り替えられていても、私たちが世界に誇るこの「善き心」が塗り替えられることはありません。
「善き心」は誰もが必ず持っているものです。
何者にも何物にも塗り替えられるものではありません。
どんなに苦しく辛くて、何もかも無い状況の中であっても、「善き心」さえあれば必ず立ち直れます。
もっと、私たちはこの心を自覚し、自信を持って日本だけでなく、世界に向けて「善き心」を広げて行くべきです。

それが犠牲に遭われた人たちの無念と悲しみ、被災された人たちの苦しみに応えるための、当事者ではない私たちの「善き心」なのではないでしょうか。